過日、一時帰国なさられた折に、タオさんの学校への継続支援金をお預けし届けていただきました。タオ校長、先生方達から「ラフーさんへ、いつもご支援いただき大変ありがとうございます!」と伝言をいただきました。現在、子ども達が35人と少なくなっているのは、「コロナ禍の影響で仕事がなくなり田舎に戻ったまま戻ってきていない」とのことで、タオ先生は「田舎で教育を受けられているか?」と心配されておられるとのことです。
ホーチミン市内の景気は少し戻ってきているとはいえ、未だシャッターが閉じたままの店も多いとのことです。そのような中で、松田さんは、ハノイから日本の絵本をベトナム語に訳され80冊相当の絵本を学校に寄付してくださいました。「子ども達への絵本」出版されるに至った経過について長くなりますが記載させていただきます。松田夫人のトゥイさんが、子ども達に絵本の読み聞かせている写真も送られてきましたのでご覧ください。
◎ベトナムでの日本の絵本が出版となったきっかけについて。
今から5年半以上前のこと、2017年に日本の歴代天皇・皇后の中で初めて昭仁天皇・美智子皇后陛下(現上皇・上皇后陛下)がベトナムを訪問されました。その折、美智子さまは、ハノイのホテルで絵本の読み聞かせ活動をおこなっていた、レ・トゥ・ティ・ヒエンさんと勝 恵美さんのお二人に直接会われ「絵本の普及に頑張ってください」と励ましの言葉をかけられたとのことです。
さらに、美智子さまご自身の著作「橋をかける子ども時代の読書の思い出」を二人に大使館を通じて後日、贈呈する配慮をなされました。お二人は、美智子さまの「橋をかける子ども時代の読書の思い出」に「それはある時には私の根っこを与え、ある時には翼をくれました。」と、書かれていたことに読書とひとの喜びや悲しみを理解する人間にとして「根っこ」を作り想像力を育む「翼」を生み出すというお考えに感動したとのことです。
この「根っこ」と「翼」いうキーワードは、読書の重要を簡潔に分かりやすく説明しており是非ともベトナム語に翻訳して出版したいと願いました。ハノイ国家大学東洋語学部日本ご学科のファム・レ・フィ先生の協力を得て著書にふさわしく格調高く分かりやすいベトナム語の翻訳に取り掛かりました。日系企業の財政支援を受けて出版が叶いました。(この企業の中に、松田氏の大手建設会社も関わられたとのことです。)
◎ベトナムは、80年以上続いたフランスの植民地支配に苦しみ、その後、独立を目指した戦争が約40年も続いた歴史があります。
庶民の生活は毎日を生き抜くのにやっとで、ゆっくりと本を読んだり、子どもにお伽話や昔話を読み聞かせたり口伝えに話たりする余裕がありませんでした。従って「絵本」はベトナムに存在していなかったので、ベトナム語に「絵本」という言葉はありませんでした。日本のように幼い時から本に親しむという環境は皆無だったのです。
◎2022年の現在でも田舎の小学校や中学校には、日本で当たり前の図書館の設備がないのが普通です。
たとえ、図書館があっても学習参考書など数十冊あるだけで児童本も世界文学全集や少年少女国民文庫のような書物はないのが現状です。
◎美智子さまに「5年間で100冊以上のベトナム語翻訳の日本の絵本を出版する。」と約束し、5年後に111冊出版できたとのことです。
この5年間で「ehon」という言葉がベトナム語として少しずつ定着してきました。
◎絵本の普及は消費市場としても注目され、約十社のベトナム出版社が絵本の制作、出版するようになりました。
◎ベトナムの絵本の急成長を知り、インドネシアから日本の絵本をインドネシア語に翻訳して出版したいとの問い合わせがヒエンさん、勝さんに届いているとのことです。
LAFFOO本部代表
宇田浩子